「ひさしぶりっ」
「ああ・・・・どうも」
「あれっなんか冷たくないっ??」
「何か用ですか」
「・・・用も無く君を昼食に誘っちゃ駄目?」
「キモチワルイですよ・・・・」


この男、篠田さんが、私は苦手だ。
達さんを通じて知り合ったのだが、正直鬱陶しくて嫌いである。
失礼だとは思いつつも、どうにも嫌悪感を隠すことが出来ない。
それで関わらなくてすむならば、しょうがないとも思えるのだが、彼は全くそういう素振りを見せない。 ソレが余計に鬱陶しい。


「ねーねー何食べたい?洋食、和食?ちなみに俺は中華食べたいんだけど、どう?」
「お弁当を持ってきたので、申し訳ないですが遠慮しておきます」
「あっ、じゃあ購買寄って、そのあと一緒たべよ!」


・・・・・・・・・しつこい人はキライだ。





「あのさーーアスミさんって人とさー付き合ってるの?」
「は?」
「あっその唐揚げ俺もらいっ」
「いや、だから・・え?」
「だーかーらーーーその人と、恋人同士なの?」


突然の質問に、つい聞き返してしまった。
篠田さんがどうしてアスミさんの名前を知っているのか、そもそもなんだこの質問。


「え・・いや、わからないデス・・・・・」
「違うのっ??まじで?」
「あ、いや、なんというか・・別に恋人とかでもないですが・・
なんといいますか、多分、両思いじゃないかなー、と」
「はっ・・え、何それ!!?」
「さあ・・・」


私にだってよくわからない。
ただ、私はアスミさんのことを好きだし、多分アスミさんも私のことを好きなのだと思う。(現に、アスミさんは時々「愛してるとか」前触れも無く言ってくる)
だけど、特別恋人のようなことはしたこともないし、告白したこともない。
正直に答えたつもりだったが、篠田は満足いかなかったらしく、少し眉間に皺をつくっていた。


「じゃあさ・・アスミさんと、どんな関係なわけ?」
「どうしてそんなこと訊くんですか」
「それはーーー・・・・・・」


ちゅ、


すぐ目の前に、ぎゅ、と目を瞑った篠田サンの顔。
唇に、生暖かくて柔らかい感触。


ああ、またアスミさんが機嫌を悪くしてしまう、



2007,12,22