目の前に、穏やかな表情で眠るソウの顔があった。
温かい布団から、手だけを出して、ソウの頬を撫でる。
もうすぐこのぬくもりも感じられなくなるのかと思うと、少し目の奥が熱くなった。
こんな感傷的な気分になるのは久々だ。


夜の静寂と、部屋の空気の冷たさに、少し身震いする。
私も、目の前のソウも、何もかも消えてしまいそうなこの感覚が、私は大嫌いだ。
そして、ふいに耳に入った誘いの声に、少し眩暈を覚えた。


なぜ今でなければならないのだろう。
よりにもよって、この日に。
サクサクという雪を踏む音しか聞こえない。
きっと、去年買ったブーツが白の中に黒い道を残していくのだろう。
でも、振り返ることはできなかった。








03 雪景色の足跡


20071222