耳鳴りがして、いたい。
背中を丸めて、おった膝を胸に押し付けて、足をぐっと抱え込む。
さむさは、いたい。
じわじわと浸透していく痛み。
指先はもう、感覚がないはずなのに、痛みだけは敏感に捉える。
目を開けるのも億劫で、動けなくなる。


ぬくもりはドコを探しても感じられない。
フッと頭をよぎった彼のことを思い出してみた。
いつも、楽しいことだけ浮かんでくる。
そして、最後の最後で、別れの時の彼の言った台詞が響くのだ。


「初めから、出会わなければよかったのにね・・」


そうすると、私の胸は苦しくて、苦しくて、しょうがなくなる。
作り話に出てくるような稚拙な言葉。
私自身も否定されたような、そんな気になる。
そして、苦しさに負けて、私は彼を憎んでしまう。


夢の深海へと落ちて、また、寒さの痛みに頭が冴えていく。
その繰り返し。
幾度あの苦しみを味わって、これ以上どう彼のことを憎めば、私は目覚めることができるのだろう。








02 冬眠少女


20080112