鳴り止まない警鐘のせいで心臓はドクドクいっている。
逃げるも逃げないも僕の自由だ。
それくらいは理解しているつもり。


かみさま、あなたが悪いんだ。





「ソウ、私、もうすぐ溶けちゃうわ」
「?どういうこと・・?」
「わからない、でも、わかるの・・」
「とけると、もう会えないの?」
「多分、だって、溶けたらきっと見えなくなってしまう・・・」


聖園(ミソノ)が、あまりにも悲しそうだから、僕まで不安になってしまう。
どうして彼女が消えなければならないんだろう。
教会に響く聖園の歌声に、僕はただ耳をすませていた。


いつもはどんなものより僕を落ち着かせる暖かい歌声も、今日は僕の心を揺らすばかりだ。
何故か神様のことがものすごく憎たらしい。
聖園が消えてしまうのは神様のせいとしか思えない。
きっと、聖園の心がまっしろだから、神様が嫉妬でもしたのだ。
こんなの、理不尽だ!


「ね、泣かないで、泣かないで・・」
「僕、泣いてなんかないよ・・・・・・」


歌い終えた聖園が、不安げに僕の顔を覗き込んだ。
自分の頬を触ってみても、別に涙なんて流れていない。
おかしな聖園・・
僕は大丈夫だと笑って見せたが、聖園はますます心配そうなかおをした。


「ソウ、私が見えなくなってしまうのは、きっと・・・」
「きっと?」
「理由なんて無いのよ」
「そうなのかな・・」
「そうよ。例えあったとしても、私にはわからない。
大切なのは、私たちが愛し合っているコト」








大切な、夢を見た。
幼い日に、流れてしまった彼女。
白くて暖かい手で、いつも僕の頬を撫でて、僕の名前を呼んでくれた。






憎むことしかできなかった。
理由なんて無い
君はいったけど、





01 氷の夢


20071222