追いかけられる兎。
私はお前を助けたりしないよ。
だって持っているのはお前を殺す要素だけだもの。


お前のくびを斬るための大きな包丁。
お前を殺したくてうずうずしていう私の狂気。
おまけに、私は空腹だ!


だからほら、そんな風に震えたって、意味は無いのさ。
でも、私がお前をころしたら、お前がうまれた意味が見つかるね。
きっとお前は私の狂気を満たす為にうみおとされたに違いない。
だからほら、喜びなさい。




死ぬものか、死ぬものか。
やらねばならないことがある。
ここでお前などに食べられている時間も、余裕も、持ちあわせて等いないのだ。


ふるえはとまらない。
独りでたからかに謳う頭上の凶器。
うまれた意味もしぬ意味も、それを探す意味すら理解できない。
そんなもの、見つけたって腹はふくれないじゃないか。


ああ、たとえこれからこの狂ったヒトが、この身を手に入れたとしても、きっとこの哀れな兎の隠した心は見つけられない。
いみなどに固執したりするから、見間違えるのだ。
愚かなヒト!





閉て


20071206